「ゆるす」システムの脆弱性

鯖江市、ゆるい移住。

「ゆるい」とは何か?
その問いの答えはきっと、人によって様々だと思うのだけど、
その答えのひとつに「許しあうこと」、というものがある。

許しあう関係性が、
ゆるさ、肩肘はらずに、だるっとできる環境を生み出しているのではないかと。

そちらについては、改めてまとめようと思うけれど。

許せないひと

ゆるすシステムには、弱みがあるのかもなあ、
と思うことがある。

それはどんな弱みかといえば、
「許せないひと」、の存在。
もうすこし分かりやすく言うならば、「規制・管理しようとする人」の存在である。
 

想像してみてほしいのだけれど。
ゆるす人々の村に、あまりルールとか、管理とかっていう概念は多くない。
なぜかといえば、お互いを信頼してゆるしているから、
ルールを決める必要がないからである。

それは言い方をかえれば、
「まあいっかあ」レベルが高い人たちが集まっているから、
いろんなことを「まあいっかあ」と思える、ということかもしれない。
 

さて、そのゆるす人々の村に、「許せないひと」が入ってきたとする。
許せないひとは、ゆるす人々の行為がなかなか許せなくなってしまうんじゃないかと思う。
「なんで赤信号なのにわたるんだ!」
「なんでこの家には消火器がないんだ!」
「なんであなたの土地の範囲は確定していないんだ!」
なんでそうなっているかといえば、それで「まあいっかあ」だったから、
なのだけれど、

でも、それを「まあいっかあ」と思えないとき、
そこにルールが生まれる。

「赤信号のときは、信号をわたってはいけない」
「各家には、消火器をつけなければならない」
「不動産の土地は確定して登記しなければならない」
等々。
 

ゆるす人々は、ゆるす。
許せないひとの、その許せないという感情をすら、ゆるしてしまうんだろう、と思う。
「赤信号でわたられると嫌だって言うなら、まあ、別に待ってもいっかあ」
「消火器がないと困るっていうなら、まあ、お金はかかるけどつけてもいっかあ」
「登記しないといけないっていうなら、まあ、面倒だけど登記してもいっかあ」
こうして反対勢力のいないまま、ルールは生まれ、

そうしてこうして、
許せない人のルールは、どんどんどんどん増えていくことになる。

ゆるす人はどうすればよかったんだろう。

そしていつのまにか、ゆるす人々ができることは、
気づけばほとんど何もなくなっている。
「朝起きたら、8時までに広場に集合しなければならない」
「移動の際は、常に走らなければならない」
「食器は、食器屋でしか取り扱ってはいけない」
…等々。

いつのまにか、
ゆるす人々の「まあいっかあ」の限界をこえて、
そこら中が規制と管理でいっぱいになっている。

ゆるす人々は、息苦しさでいっぱいになって、
もやもやと悩み、うんうんとあがき始める…。
 

ゆるす人はどうすればよかったんだろう。
ゆるさなければよかったのだろうか。
許せない人の感情を、行動を、「許せない」ことを。

あるいは、ゆるし続ける限り、
ゆるす人は、規制され、管理される運命にある、とでもいうんだろうか。
 

そしてまた、
「ゆるい移住」みたいな、「ゆるすひと」の新しい世界が誕生し、
そしてまた、
そこに許せない人が入り込み、規制と管理でいっぱいになり、

そしてまた、そしてまた、それは繰り返され続けるしかないんだろうか?

 

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投稿者:

森 一貴

山形県出身、東京大学教養学部卒。コンサルティング企業にて勤務後、鯖江市ゆるい移住に参加。現在、考える力を伝えるプロジェクト「CUE」代表。