移住と「コミュニティのありかた」についてまとめました。(前編)



ゆるい移住第一期生として実際に地方に入り、いくつか驚きがあったので、
実感値ベースではありますが、地方におけるコミュニティのありかたをまとめました。

・前編:facebookという断絶
・中編:移住者の入る「トガった人たち」というコミュニティ
・後編:地域コミュニティの密度
 

参考までに、私が移住している福井県鯖江市は、
移住者が増えつつあり、地方コミュニティもまだまだ残る、
いわば典型的な地方都市です。

私自身の実感ベースですが、参考になれば嬉しいです。
まずは前編「facebookという断絶」から。

地方に、facebookは普及していない?

地方に、facebookは普及していないみたいです。

なぜかといえば、
地方の人の多くは、facebookをする理由がないからなのだと思います。
facebookを始めるには、2つのうち、どちらかの理由が必要なはずです。

①事業やイベント等に関わり、発信/情報収集をしたいから
②多様な属性を持つ人々が、何をしているか確認がしたいから

後者が意味するところを簡単に補足します。
facebookを始めるためには、例えば、地方から上京したので、かつての友人が何をしているのか確認したいとか、職場の友だちの他に、まちづくり団体の友だち、大学の友だち、サークルの友だち、、、などの、複数かつ広い人間関係を持っているとか、そういう何らかの理由が必要なのです。
 

一方、地方にずっといて就職をした人、
とりわけ、友人の多くが同じ地方に就職した人には、
facebookを始める理由がないようです。

地方における友人関係は「中高の同級生」、「大学の同じサークル」、「職場の同期」、確かに複数の人間関係はありますが、その規模は小さく、そしてみんな、近くにいるようです。だから、会いたいと思えば会えるし、別に近況くらいならtwitterでもわかる。(twitterをやっていない人も本当にたくさんいますが)

facebookを使って、「えー結婚したんだー!」「えー仕事やめたんだー!」なんてことを、わざわざ追う必要はない。
だから、facebookをやらない。そういう人が、肌感覚としてすごく多い。

facebookを使う人の「密なコミュニティ」

そこで、何が起こるか。
地方では、facebookをしている人・していない人の間に
大きな断絶が生まれているように思います。

前述した通り、地方においてfacebookをしている人は、
(ビジネスのつながりのために利用している人を除けば)
「発信/受信」の意志がある人が多いようです。

それはどのような人かと言えば、
例えば「インフルエンサー」や、丁寧な発信を続ける「おしゃれなカフェ」、まちづくりの一環としてコワーキングスペースやシェアハウスを作ろうとしている人や、その情報を受け取ろうとする人々、、、
結果として、「感度が高い人」の割合が多いような気がします。(決して優劣を決める意味で使っているわけではありませんが)
移住者も例外ではなく、ネット上で色々な情報収集をした上で地方へ来ているのでしょうから、
同様に感度の高い側にいることは間違いないでしょう。
 

そうした彼らの行う「情報発信」は毎回地方情報誌に載るわけではないから、多くの場合、facebook内で密にやりとりされることになります。つまりここで、facebookをやっている人と、やっていない人の間で、明らかな情報格差が生まれています。

具体的にどんな格差が生まれているのかといえば、
「こんな商品が生まれました!ネットで購入できます。」
「こんなイベントをやるので、みなさん来ませんか?」
「コワーキングスペースを作るので、みんなで壁塗りに来ませんか?」
facebookをやっていない人は、こうした情報を受け取れません。

発信する側も、なんとかfacebookをしていない人に届けたいと思ったところで、どんなにシェアされても、どれだけオシャレな企画だろうと、
「facebookをしていない一般の人々」
の目には届かない。

逆に言えば、facebookをしている人
(の中で、きちんとそうした情報をフォローしている人)
のもとには、それらの情報がどんどん入ってきて、
そしてどんどん交流が生まれます。

facebookを使っていない人の「地元のコミュニティ」

では、facebookをやっていない人は「かわいそう」なのか?
といわれれば、別にそうでもなさそうです。

地域の昔からの友だちとともに、
地域情報紙を片手に、地域情報紙に載るような、
オシャレなカフェやイベントに遊びにいったり、
あるいは口コミ情報を元に、ローカルな活動に参加したり、、、。

そこにfacebookをしている人・していない人の
「格差」というものはないようです。

ただし、そこには「断絶」はある。
facebookをしている人と、facebookをしていない人は、同じ地域内だとか、同じ店の常連だとか、なんらかの要素で結びつかないかぎり、なかなか出会う機会はないように思えます。

facebookを境界とした、無意識の排除と囲い込み
この「facebookという境界」が、地方コミュニティ形成のうえで、
とても強力な要素として作用していると私は感じています。
 

地方の文脈では、いま、
「レイヤーの断絶」が問題になっているところがあるようです。

移住者や、まちづくりに熱心な人だけが突っ走って何かをしているのだけど、
地域の人たちには全く落とし込まれていない。
あいつら、誰?いや、知らない、、、。

もしかしたら、そのレイヤーの断絶の原因は、
facebookにあるのかもしれない、と最近は思います。

地方における、facebookではない情報収集

ちなみに。
では、facebookを利用していない地元の人々はどうやって情報収集をしているんでしょうか。

発信する視点で言えば、地方はこれだ!というイベント情報サイトが少なく、
ネット上で宣伝してもあんまり意味がないし、
駅にポスターをはっても、車社会なので社会人にはほとんど意味がありません。
ビラ配りをしても、ドアtoドア社会なのでなかなか意味がありません。
…地方に来て、自分で発信しようとして初めて、この恐ろしさを知りました。
一体どこで発信すればいいのか、はじめは全くわからなかった。
 

でもこうして暮らしてみると、地方は地方で、色々あるみたいです。
・回覧板(これは一定の年齢以上の方が多そうですが)
・口コミ
・地方紙(福井における福井新聞は、大手新聞社より偉いです。本当に。)
・地方雑誌(福井では、URALAという雑誌が絶大な影響力を持っています。)
地方雑誌の威力は、感覚値ですが、割とすごそうです。
 

一方の私はといえば、
回覧板は見ていないし、口コミをくれる地元の友だちもいないし、
新聞もとっていなければURALAも買っていない。
情報収集はfacebookのみです。

そりゃあ、私と彼らの間の断絶は、
いかんともしがたいほど深そうです。

ちなみに付記しておきますが、
もちろん、「FBを利用している地元の人」という層もいます。
彼らは、最新のイベントやワークショップにも多感で、
かつ地元の友だちもいる、なかなかの強者です。
移住者的には一番うらやましい存在、、、。

まとめ

さて、本日はfacebookによる地方の断絶について簡単に説明しました。
ざっくりとまとめると、以下のとおり。
・地方では、facebookをやっている層とやっていない層で明確な断絶がある。
・やっている層では、新しいプロジェクトやイベント、ワークショップ等のイベントが頻繁にシェアされ、密なコミュニティを作っている。
・やっていない層では、地元のつながりをもとにしたコミュニティが活動の中心。
・両者のレイヤーの断絶は、なかなか近づけるのは難しそう。

福井県嶺北地域において、これがいまの私の移住者としての実感値です。
だからなんなの、という話は、中編にてもう少し詳しくお話ししてみたいと思います。
では。
 
 



 

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投稿者:

森 一貴

山形県出身、東京大学教養学部卒。コンサルティング企業にて勤務後、鯖江市ゆるい移住に参加。現在、考える力を伝えるプロジェクト「CUE」代表。