Microsoft Excel。

それは神が我々地を這う愚民に与えたもうた、神の子である。Excelが世の中から集める尊敬と畏怖はやむことをしらず、Excelに足を向けては寝られないという人もいるほど。経済は、ひいては世の中はExcelによって成り立っているといっても過言ではない。

Excelがどれだけすごいのか?

それを知るには、Excelがない世の中を想像してみればいい。Excelがなかったら、世の中からWBSはなくなり、PDCAがうしなわれ、マネジメント学も経営学も廃れ、決算書は誰も作らなくなり、会計やコンサルは死に絶える。管理という概念すら、その根幹を大きく揺さぶられることになるだろう。世の中のビジネスマンはExcelに生き、Excelに管理されて死んでいくにも似て、そう、Excelは神が我々愚民に与えたもうた、生きる指針なのである。

しかし、その神の子Excelにも、一つだけ欠点がある。それは

F1。

ヘルプ呼び出し機能「F1」

そもそもF1とは何なのか?

F1とは、ファンクションキーの一番左側にあるキーである。

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これね。

ExcelやWordにおいては「ヘルプ」を呼び出す機能を持っていて、困ったらF1を押せばいい、ということになっている。これはファンクションキーという概念を知っている人はだれでも知っている事実である。(が、「ヘルプ機能」を欲しているはずの初心者はだれも知らない事実である。)

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ちなみに、F1を使っている人を、俺はしらない。なぜか。ヘルプを呼び出すよりも、Google先生に聞いたほうが、早く、そしてわかりやすいからだ。

つまり、F1はいらない。蛇足機能だ。

 

しかし、そのF1の何が、神の子Excelの欠点だというのか。

あってもなくてもいいなら、別にあっても悪いわけじゃないでしょ、と人は言う。現代の悩める子羊を救うアドラー心理学に言わせれば、F1がいてもいなくても同じであろうと、F1はその存在そのものが尊重され、承認されるべきなのだ。

そのF1が、一体どんな悪いことをしたというのか。

セルの編集機能「F2」

それにはまず、我らの相棒「F2」のことを話しておかなければなるまい。

F2は、F1の一つ右隣にあるファンクションキーである。F2は、すごい。何がすごいって、セルの中に入り込めるのである。

ここで「どういうこと?」などと言っている、5年後にはAIにとってかわられるリスクが高そうなExcel初心者のみなさんに向けて、F2のすごさを伝えたい。

みなさんは「セルを編集する」とき、どうしているか?セルを「ダブルクリック」しているのではないか?

F2の機能を知らない人が、セルを編集する様子を見てみよう。

こうである。この動画、約20秒ある。

ここで登場するのが便利機能「F2」である。F2を知っている人がセルを編集する様子を見てみよう。

いかがだろうか。こちらの動画、約10秒である。

まとめよう。F2は「セルの編集」機能を持つ。すなわち「マウスでカーソルをセル上まで動かし、ダブルクリックして、一番右端まで移動する…」という動きは「F2」一発に代替できるのである。

この動画ベースでは、F2を知っている人と知らない人の差は、5秒。すなわちF2は、セルを編集するたび、約10秒の時間損失を防ぐのだ。Excel太郎の皆さんであれば、300回/日くらいはExcelで「セルを編集」していることだろう。つまりF2は3000sec/day、すなわち一日あたり約1時間ほどの時間短縮を生み出しているのである。

ここでF1の登場。

さて、F2のすごさを思い知っていただいたところで、

ここでこの憎きF1である。

いつものように「セルを編集」しようとF2を押そうとする。その隣でF1がニヤニヤと笑っている。しかし、僕たち優秀なビジネスマンはブラインドタッチ。気づく間もなく、僕たちはF1の罠にかかる。

ヘルプ登場。

思わず舌打ち。精神的なストレス。約5秒の時間的損失。職場の精神環境の充実/労働生産性の向上に真っ向から抗うその尊大で幼稚な精神性たるや。

F1よ。

 

しかも見ていただいてわかるとおり、これが、これが実に重いのだ。元々重いパソコンを使っている人なんかだと、余裕でフリーズする。せめてもう少し起動が早くできないものか?なぜこんなにもヘルプは重いのか?なぜ別途ウィンドウが開くのか?

間違った!!と思ってそこからF2を押してもあとのまつり。我々はマウスを動かして、「☓」ボタンを押すしかない。(我々にはショートカットキーもある。ウィンドウを閉じるショートカットキーは、Macなら「Ctrl+W」、Windowsなら「Alt+F4」だろうか。)

その存在はまるで、知ったかぶりばかりするお節介の名も知らぬ先輩。「なんでも俺に聞いてよ!そういえば今朝のトランプのニュースによるとさあ…。」聞いてない。

F1がもたらす経済損失

その経済損失たるや、想像するだに果てしない。一回F1を押すごとに5秒。想像してみてほしい。30回に1回は失敗する、すなわち一日あたり10回=50秒。年間労働日数が22*12=264日だと仮定すると、その損失は3時間40分。

小さなコストだ、と思うだろうか?世界にExcelを頻繁に利用する人が、どれだけいると思っているのか?仮に100万人いたと仮定しても、年間約400万時間の損失。彼らが総じて10,000円/時程度のバリューを発揮しているとすると、その経済損失は年400億円にものぼる。

「F1」は、年400億円を世界から奪っているのだ。

(Excel 利用人数で検索すると、Excelで何かの利用人数をまとめた統計データしか出てこなかった。厳しい世の中である)

「F1」との闘争

F2は、我々にとって欠かせない存在だ。誰からも奪うことのできない音楽と踊りのように、それは我々の心のなかにあり、ともに人生を生きていく仲間だ。

 

だから。だから、我々はF1と真っ向から向き合わなければならない。戦わなければらないのだ。Microsoft Excelが生まれたその瞬間から、F1との果てぬ闘争の歴史は、連綿と紡がれてきたのである。

見ていただいてわかるとおり、SNSは、F1に対する恨みつらみに溢れている。

 

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Googleで「F1 キーボード」と検索すれば、すぐ下に提案される「無効」。

 

こんなソフトすら出ている。

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F1ブレイカー http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se368693.html

人々はそれぞれに、F1との闘争を繰り広げてきた。

F1との闘争に、終止符を打つ。

しかし、我々は、いつまでこの難問と向き合わなければならないのか?この果てしない恨みの連鎖は、このままでは連綿と続いていく。子に。孫に。世界中で。

誰かが、どこかでこの連鎖を断ち切らねばならないのだ。

 

だから今こそ、この手で終止符を打とう。

 

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さらば、F1。

安らかに眠れ。

 

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※ちなみにこの方法、「F1キーの押し間違いに最も有効な対策」として、長年にわたって各地で実践されている、大変有名な方法です。Excelをメインに使うコンサル業界などでは、もはや常識。

エクセルを使いたければ、F1キーを抜け!?
http://diamond.jp/articles/-/66940

まだマウス使ってるの?元・外資系バンカーが教える爆速Excel術【入門編】
https://gaishishukatsu.com/archives/72904

 

この記事を参考に、皆さんもぜひノーF1ライフを送ってくださいね。ちなみに、自分の身を振り返るとそもそもExcelをMacで触ってる時点で無能という説は多いにある。Altキーどこやねん、Macよ。

 

 

ビジネスマンなら当然持ってますよね?とにかくExcelは「マウスをいかに触らないか」で全てが決まるといっても過言ではない。そのエッセンスがわかりやすく記載されている。

同様にこちらも必携。提案書など、資料を作る機会のある人は持っていてしかるべき。さすが資料を作るのがうまく、図が多くて本当にわかりやすい。おすすめ。

ロジカルシンキングなら、やっぱこれでしょ!

ではまた。