新しい財布を探しています。
以前使っていたのはwhitehouse coxの長財布。
20代で持つにはきっと早い、知的で上質で泰然とした財布でした。
そのイギリスらしい、じんとした量感がほんとうに好きだったのだけど、
いつか、こんな財布のような人間になりたいと思っていたのだけど、
まるで、おまえが持つには早いとでもいうかのように
買ってしばらくしてなくなってしまった。
それ以来、もう財布なんていらない、くらいの気持ちになってしまって、
中学生のときに母親から譲り受けた財布をまた使い始めた。
もう使い始めて10年以上になる。
だから財布がほしいのだけれど、
昔夢見ていた、whitehouse coxにNOMOSの似合う、
背筋のしゃんとしたコンサルタントになる、という思いは
いまはもう自分の中にはないみたいな気がして。
欲しい財布のイメージが持てなくって、しばらくもやもやとしていました。
昨日あるひとと話していて、財布がほしいんだ、という話をしていたら、
ふわふわと言葉が口から出てきた。
今ほしいのは、なんというか、なんでもない財布なんだよね。
財布って、いろいろあると思うんだよ。
例えば、大人っぽい財布、かわいい財布、高そうな財布、パンクな財布、
いろいろあると思うんだ。
でもいま、そのどれでもないような財布がほしい。
なんか、どんなときでもそこにあっておかしくない、みたいな、
空気みたいな、なんでもない財布。
言葉が出てきてみて、ああ、そろそろ、きっと買う時期なんだなあと思いました。
欲しいものが自分の中で言葉になっている状態。
いまの自分が、それを持っていることが最も自然だから、それを必要としている、
っていう状態。
私はとってもこの状態が好きです。
どんなものが欲しいかわからないなかで、
お店にいって、たぶんこんな感じなんだよなあ、って買うのとも違うし、
欲しいものが明確にわかっていて、それを買いにいくっていうのとも違う。
自分の中にあることばがあって、
それを、いろんな作り手の言葉や、ウェブサイトから伝わってくるにおいとか、
写真から聞こえてくる音とか、実際のものの手触りとか、
そういうものと自分のことばとを擦り合わせていく。
あ、この人はちがう、これもちがう、あ、こっちの方向だ、この匂いだ、この音だ、
そうやって一つ一つ試していって、あるどこかで、ぽん、と、
あ、これだ。
って思う瞬間がくる、それがとても快い。
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今日はここまで。
以下、備忘用と、せっかく色々探したので、紹介用に。