珍地名の宝庫・石川県

みなさん!!見てください!!これが日本の三大珍地名(さっき名付けた)・石川県のイロハニホヘトチリヌルヲ!!こちらは、石川県・加賀市の大聖寺町ですね。

例えば京都にはかの有名な「上ル/下ル」という地名があります(これも日本の三大珍地名のひとつにしよう)。それと同じように、日本のその他の地域にも不思議な珍地名がたくさんあります。

その聖地が、実は石川県なのです!!

イロハ地名は、Diversityの最先端。

何が聖地って、そのバリエーションの多さ!!イロハ地名だけでも多様性が高くおもしろいのに、他にもホニャララとかホニャララとか、心極まる珍地名がたくさんあります。よだれ出る。ええ、紹介しますよ…!!

例えばコレ、加賀市橋立の東部。

ああ…見てくださいこの多様性、日本のグローバル化が叫ばれそのために多様性を受容する精神がどうのこうのと言われている昨今ですが、既に石川県は根っからのDIVERSITYフリークですよ、だってヤバいでしょう、なんていうか、イロハ地名つけたときに、カタカナとひらがなと漢字、揃えようと思わなかったんですかね?

そしてもうちょっと観察してみてください。北西部に見える「ロ」と「ろ」。北中央部に見える「よ」と「與」。中央部の「れ」と「礼」、え、君ら別地名なの?

となりあってんじゃん君ら。仲良くしなよ。

これとかも本当にヤバい、ここは「わかよたれそつねならむういのおくやま…」の部分だと思うんですけど、「ら」の部分からスタートして

「ら武宇(有)為のお久」

ひらがなと漢字〜〜〜!!!そろえて〜〜〜!!!!!!!!

しかも、宇にいたっては置き字なんですけど、なんて読むの?それ?

まだまだ珍地名。

先に示した「イロハ地名」以外にも、様々な心くすぐられる珍地名が眠っています。

1.天地

ああ、ほんとイロハ地名、溜息出る…そしてここに見えるは「天地」。このほかにも「東西南北」地名もあります。

2.甲乙丙

し、死ぬ…こ、これは石川県の伝家の宝刀「甲乙丙」地名…甲乙丙丁戊己庚辛壬癸、あと二文字はないものの、なんて美しさなの…ああ…美…

石川県にはイロハ地名とならんで、そこら中で見られる地名ですね。

この甲乙丙、実は強力な拡張性をもっていて、石川県内では「イ甲」「は乙」など、イロハ地名と結びついてダイバーシティ向上に寄与しているとのことです。

3.子丑寅

き、きたー!!!七尾市・七尾駅前の十二支地名!!

え、どれどれ…子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、申…

す、すべて揃っているではないか〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!

各地に「子」とか「寅」だけで残っているケースは多い、でも今ではこれだけ揃った形で見られるのは少ない、駅前という人通りが多いであろうエリアに、非常に貴重なあ珍地名スポットがあああ

4.日月盈昃

やばいものを発見してしまった…。石川県白山市・河内町福岡。

これはまさか、あの「日月盈昃 辰宿列張(じつげつえいしょく しんしょくれっちょう)」………!!(今調べて知った)

これは中国で使われる、周興嗣のつくった「千字文」と呼ばれるもの。1000の異なる漢字が使われていて、中国で子どもに漢字を教えるために用いられているのだそうな。これはまさに…「中国のいろはにほへと」…!!

イロハ地名に飽き足らず、中国のいろはにほへとにまで手を出す石川県、なんてグローバルなんだあ…

ちなみに千字文はこんなものらしい→
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%8D%83%E5%AD%97%E6%96%87

5.世に出てはならない地名

それは、七尾市伊久留町にある。七尾市の最も南西部に位置する、伊久留川に沿った小さな小さなまち。十二支全てを揃える七尾駅を擁する七尾市、期待が高まります。車を飛ばして約15分、私たちは伊久留町郵便局へおり立った…。

地名「伊」「久」「留」て。自分のとこ好きか。

この珍しくナルシストな地域から、少しだけ道路を下ったところに、日本が誇る、世に出してはならないヤバい地名があります。

見てください。

そう、これは、「耕」…。

もう少し…拡げて見てみよう…。

こ、これは…この漢字の並びは…

こ、耕地整理区だ〜〜〜!!!
ドコドコドコドコ俺んち耕地整理区〜〜〜

言わなくてもいいじゃない!!!ここが耕地整理した場所ですよなんてこと言わなくてもいいじゃない!!!せっかくダイバーシティを掲げてイロハとか甲乙丙とか子丑寅とか多様な地名リストをご用意していたじゃない!!!!なのに!!!なのになぜ!!!

耕地整理区〜〜〜

 

耕地整理区、ここまで美しく残っているケースはかなり稀ですが、石川県内でも各地に「耕」や「地」の地名が残されています。その他、稀に「改」などの字が見られることもあるんですよ〜。こんな住所、なんか変な感じがしますね。

イロハ in 千葉

そんな珍「イロハ地名」ですが、実はこのイロハ地名、石川県だけではなく千葉県の東部エリアの一部にもよく見られます。(難読地名・匝瑳市で個人的には有名なエリアです。)

こちらは千葉県旭市のイロハ地名ですね〜!

google mapでゆく地理学探訪の旅へ。

こうした多様な石川県の珍地名ですが、おもしろいのは近年できた新興住宅地でも「イロハ地名」を採用していたりすること。石川県では、本当に当たり前の地名なんですね。

今回ご紹介した珍地名。「イロハ」、「子丑寅」や「耕地整理区」。でもこれって特別な専門知識ではなくて、実は皆さん自身でgoogle mapを使えば、今すぐ気軽に、珍地名に出会うことができます。

例えば以下は、ご紹介した七尾市の七尾駅。
https://goo.gl/maps/VH9wVQ83msm

こんなに身近に珍地名をめぐる旅ができるなんて、なんて良い世界になったんでしょう…。ぜひ、皆さんもgoogle mapを眺めてみてくださいね。

google mapを楽しめるようになってくると、次はもっと「標高」が気になるようになってきてしまい、やっぱり辿り着くのは国土地理院の地理院地図ですね〜。これがホントにやばい。

地理院地図
https://maps.gsi.go.jp/

左上の「情報」から「色別標高図」をチェックして、色々なまちを眺めてみましょう。

例えば今回ご紹介した石川県の金沢市。

こうして標高図をつけて金沢のまちを眺めてみるだけで、なるほど、金沢城や兼六園は、こんな風に突き出た台地の突端に築造されていたんだなあ。それを囲むように城下町が形成されているんだなあ…。ということがわかったりするわけです。

た、楽しいですね。

無料でこんなにおもしろい旅に出られる今の日本は恵まれています。みなさん、書を捨てよ地図を見よう(?)。地図は知的好奇心の玉手箱。まずは自分のまちから、旅を始めてみませんか。

 

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さて、こうしたことに喜びを覚える人たちというのが案外世の中にはたくさんいるようでして、日本には「スリバチ学会」や「日本坂道学会」などというアヤしい団体がたくさんあり、タモリさんを筆頭にスリバチや坂道のおもしろさを世の中にPRしようと日々奮闘?しています。

スリバチも坂道も地名も城下町も本当に最高にカワイイので、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょう、まずは自分のまちからでも。