こんにちは、森一貴です。
最近、情報を発信するあるいは受け取るときは
お互い「ステージ」を意識しなきゃいけないんだろなーと思うことがあるので、
そんな感じの記事です。

■ステージを意識しないと情報がズレる

大事なことを決めるとき、例えば就職するときなんかは、色んな情報を取りにいくじゃないですか。
OB訪問を例にとると、学生側は「その会社に入った理由」とか「その会社での生活」とか
「面接でのポイント」とかっていった情報を必要としてる。
そういうとき、情報を受け取る側がいる「ステージ」って、実は結構多様なんだよね。
「なぜするか」を決めるステージとか「どうやってやるか」を考えるステージとか。
そこを受け取る側、発信する側がお互いに理解しないと、情報にズレが起きちゃうな~と思った。

9月末で仕事を辞めたわけだけど、そのときは「どう生きるべきなんだっけ?」ってのを
半年くらいずっと考えてました。そういうステージにいたわけね。
そういうときは、人と話してても「なんでやってるの?それってどんな生きる定義に基づいてるの?(WHY)」ってとこがすごく気になってた。

ところが、最近はどう生きるかなんとなくわかってきて「じゃあ何するか(WHAT)」みたいなとこにいるんだけど、
今度は「実際それってやってみて内実どうなの?」とかっていうところが気になったり。
そういう、自分のステージの変化によって、聞きたい事って変わるんだってことに最近やっと気づいた。
それと同時に、「あ、いまこの人が話してるのWHYの話だ、今の俺にはいらないわ」とかって意識的に思うようになって。

■例1:WHYとHOWのずれ

以下はいろいろなステージ、をなんとなく示した図。
stage2
例えば、あるAくんが、「音楽で生きています」って人(Bさん)と話したとする。
Aくんが「どう生きるべきか?」を考えるステージにいるとき、気になるのは
「音楽で実現したいのはなんなんですか?そのおおもとの生きる定義は?」ってところ。
それに対してBさんが「俺はみんなで空間を共有して笑顔でいられる、それが一番しあわせ、音楽はその一つの空間の作り方だよ」
みたいなことを言ってくれると、はは~ナルホド、という気がする。
このとき、相互の「ステージ」は合ってるなーとおもう。

一方、Aくん「生きる定義」を考えるステージなのに、Bさんから
「音楽をやっていくには、キチンとマーケティングの知識を身につけて、稼ぐんだって気持ちでやってかなきゃだめだよ。例えばこの間なんかもねつらつらつら…」
なんてHOWの話をされても、「フーン」となっちゃう。
これってステージがずれてんだよね。
「生きる定義」を考えるステージの人には、HOWの情報はいらない、
結局、このタイミングで情報を受け取っても無駄になっちゃう。

そういう「ステージがずれてる」のって、聞いてるのもシンドイし、話してる側からしてもタメになってないのではさみしい。
でも、ずれてるってことが世の中では往々にしてあるな~~~って思う。
聞いてる側も、話してる側も、案外そこを意識してないことが多いんじゃないかなって。

■例2:WHYのなかのずれ

ステージを意識するのなんて当たり前じゃん?てもしかしたら思ってるかもしれないけど、
今のは「WHY」と「HOW」の違いだから、確かにそんなにズレることはない。

そこでもう一つ、WHYのもう一段深いところで例をあげてみたくって。
WHYって以下に示したとおりいろんな種類があって、
それが意識できなくて会話がズレてるなと思うことがかなりある。
stage1

具体的には、以下みたいなパターンがあると思ってる。
①できること:
「なんで音楽やってるんですか?」
「昔からずーっとやってきて、気づいたら海外の賞とかも貰ってさ。
そういう俺の技量があれば、もっと審査員だけじゃなく、
子どもたちにも新しい感動を味わってもらえるんじゃないかと思って。」

②(社会から)求められていること:
「なんで音楽やってるんですか?」
「現代日本では、面と向かったコミュニケーションが失われつつある。
そこで、音楽というツールを通じて人々が繋がれる場所を作ろうと思った。」

③やりたいこと:
「なんで音楽やってるんですか?」
「ずっと親や友だちを喜ばせるのが好きだったんだ。それさせあれば俺はしあわせだなって。
俺にとって、それを実現できるのが音楽だったんだ。」

④数々の選択肢の中から、音楽を選んだ理由(=WHATのステージ):
「なんで音楽やってるんですか?」
「もともと、音楽とか絵画とかに興味があってね。
その中でも、やっぱり音楽って一瞬一瞬の対話から生まれる、そこに刺激を感じて。」

「やりたいこと」(③)について聞きたいAくんが「なんで音楽やってるんですか?」と聞いた結果
Bさんから「求められていること」(②)について語られると、
「あーなるほど、わかる、わかる…けど、なんとなく聞きたかった答えと違うな?」
っていうことが、本当によく起こりがちだな~と思う。

■情報を発信する側、受け取る側に求められる「ステージ理解」

だから、情報の受け取り手(質問者)側としては、
単純に「どうやって?」「なんで?」って聞き方をしちゃたぶんダメで、
具体的にどこが知りたいのか?をきちんと自分の中で明確にしたうえで、
その回答をきちんと得られる質問をしていかなきゃいけない。
例えば、「音楽で世の中にどんなことを実現したいと思っているんですか?」(前段②のパターン)
とか、
「音楽をやっていて、どんなことが楽しいんですか?」(前段④のパターン)
とか。

翻って発信者側も、きっと
受け取り手は一体どのステージにいるんだろう、どの部分を聞きたいんだろう、
そういうことを受け取り側から引き出してあげながら発信できたらいいなあ、
あるいは、きちんと「WHYのうち、この部分を話すけど…」って示してあげるとか。

発信っていう視点ではもう一つ気になってるのが、本や記事を書く人のステージ理解不足で。
最近ありがちな「東大卒の私が~~~をはじめた理由とは」みたいな記事の中で、
「今どのWHYの話をしているか」が筆者の中でぐちゃぐちゃになっている、
ってことが結構あるな~と思って。
読む人と筆者との間にも情報のズレが生まれてくる、それはなかなかしんどいよなあ。

っていうか、よく考えたらこういうのって就活(とか起業とか)で確実に問われるところじゃん?
ステージが分かってないと確実にどこかの理由が弱かったりするわけで、
それって「何かを始めるときの理由づけ」としてそんなんでいいんだろうか。
だいたいみんな就活したじゃん。そんな状態で面接に臨んでいいんだろうか?
って感じだ!!

まとめます。
・情報の受け取り手には、いろんなステージがある。
・ステージはWHY-WHAT-HOWだけじゃない。各ステージ内もいくつかの独立要素に分かれている。
・発信する側・受け取り手の双方が、受け取り手のステージを理解することで、
より確実に伝えたい情報を伝える・ほしい情報を得ることができる。

そういう意味では、これから就活に向かう人、何かを始めようとする人、
ほんとはそういう分岐点にいる人に限らず、みんなが考える力を持つのが理想なんじゃないかと思ってて、
バーバラ・ミントとか、照屋 華子とか、
ほんとに、ロジカルシンキングって言葉がきらいとか、どうとか、そういうことを別にして、
これから生きる上で、当然のように読んでほしいなあ、、、と思ってます。