勝手に特別対談vol.2 森一貴×新山直広「創造産地を創造する。」(前編)

創造産地を創造する。

こんばんは、森一貴です。

東京にいたときと比べて、鯖江には「はたらくフリをして、生きている」ような人が、
たくさんいるなあと思うようになりました。
そんな人の一人、新山さんは、鯖江のデザイン事務所「TSUGI」の代表。

新山さんと出会ったのは、ゆるい移住が始まってまもない10月半ばのこと。
楽しそうなところないかなあ、とふらふらしていたら、TSUGIにたどりつきました。
そして私はいつのまにやら、今はここでフルタイムではたらいています。

新山さんは、漆器やメガネといった伝統産業を擁する鯖江市・河和田という地区で、
デザインを通じて、地域や地場産業のブランディングを手がけています。
その根底にある想いは、
「10年先も、15年先もこの地でものづくりが続いていってほしい」
ということ。

今回は、そんな新山さんとお話ししてみました。

(TSUGIのインタビュー記事がJDNに掲載されています。
 よかったらお先にどうぞ!
 JDN 継ぎ・注ぎ・接ぎ…地域産業の担い手を目指す移住者6人組-TSUGIインタビュー

いま、名古屋の催事準備から帰る途中の高速にいます。深夜1時半です。
新山 鯖江まで、あと2時間くらいで着くで。
勝手に特別対談、始めます。
新山 なんなんそれ。

ほしい未来は、自分で作る。

新山 最近、「文化を作る」ってことに興味があんねんな。
「文化を作る」?どういうことですか?
新山 いや、実は自分でも、何が文化かっていう答えは出てないんだけど。
でも、今作りたい「文化」っていうのは、ひとつのカウンターカルチャー的なものかなと思ってる。

いまのマジョリティって、バブル期から続く価値観を持っているんじゃないかと思ってるんだよね。それに対して僕らは、3.11やリーマンショック、ゆとり世代っていう要素のなかで、すこし違う空気感の中にいるのかなって。

うん、わかります。
いい大学を出て、いい会社に入って、といういわゆる「よい人生」みたいな考え方に対して、僕たちの世代の中に「もしかしたら、生き方の選択肢ってこれだけじゃないのかもしれない」という感覚が生まれてきている。

ゆるい移住っていうのも、そういう感覚に対する一つのアプローチなんだろうと思ってます。

新山 そうかもね。
そして、そういう空気の中から、マイノリティではあるんだけれども「おもしろがれる人材」が出てきている気がする。
評論家みたいなスタンスじゃなくて「なんかおもしろそう、何になるかわからないけどやってみよう」っていう人たち。

僕自身もRENEWみたいなことを通じて、根拠も確証もないんだけど、きっとこっちの道が正しいんだろう、っていう気持ちで実践を続けている。
ほかにも、福井には牛久保聖子(クマゴローカフェ)とか、森岡咲子(SAMMIE’S)みたいなおもろい人たちもいる。

そういう人たちと最近話しているのは、ほしい未来は誰も与えてはくれない。
おもろい福井、ほしい未来を、自分たちで作っていこうよっていうこと。
もしかしたら世間からは、そんなの政治家とか、ナントカ先生がやるべきことでしょって言われるかもしれないけれど、僕らがアホなりも、自覚して、考えて、自分たちで変えていくっていうのが大事な気がしてて。

SAMMIE’S(SAMMI’S公式ウェブサイトより)
なるほど。
うーん、つまり、新山さんが目指してる「文化」っていうのは、みんなが当たり前のように「おもろいこと」を実行しているような景観、という感じなんでしょうか。よく新山さんが言葉にする「工夫する」状態というか。
新山 そうやね。工夫する状態。
河和田の人たちはそもそも、昔から自営の職人として、長い間、工夫する、創造する、っていうことをやってきたはずなんだよね。だから、そういうことは得意なはずやねん。

なのにそれが、バブルの「作れば売れる」という時代を経て、思考停止状態になってる気がする。
河和田のおっちゃんと話していても、なんとなくバブルを引きずってるような発言を聞くことも多い。でも、僕らはその時代を知らんから、おっちゃんたちの発言に違和感があってな。

作れば売れない時代になった今、バブルは終わったんだ、と改めて認識したうえで、今まで潜在的に持っていた工夫力みたいなものをいかして、文化、まち、そういうことを考える人たちが増えていったらと思うねんけどな。

そうですね。
そして、新山さんといて感じるのは、
そういう社会になっていくために、新山さんの中できっといくつかのステップが見えているんだろうな、ということ。

TSUGIにいて、RENEWを間近で経験できたのは本当にありがたかったと思っていて。
RENEWは、そとの人が、河和田に実際に来て、製造する現場や、ひとの声を聞く、というイベント。一方で、内側からの視点でみれば、RENEWは、ものをつくるひとたちが、実際に使うひとの顔をみて、声を聞く、そういうイベントでした。

その視点で、RENEWは「工夫する文化」を作る、一番最初のステップとしての「気づいてもらう」試みなんだろうと。

RENEWの1シーン
RENEWの1シーン

(しゃかいか!にRENEWの様子が詳しく掲載されています。
 しゃかいか! 未来をつくる、河和田の工場開き&体験型マーケット! RENEW

新山 そうだね。
でも、そのチャレンジはまだまだ始まったばかりだと思う。
はじめの一歩は、当たり前の壁を一回ぶち壊すってことだと思うねん。これほんまな、僕思うねんけど、当たり前を壊すのって想像以上にめっちゃむずいことやねん。
説明すればわかるってもんでもないし、想像以上に「当たり前」の力って強くて、伝統とか、これまでこうしてきたんだからとか。その牙城を崩すのって超難しい。

でも僕な、それをやらなきゃいけないなーとはずっと思ってて。
なんでかっていうと、ロボットってすげー、と思ってるから。

ロボット?
新山 そう。ロボット。
ものづくりにおいて、ロボットが人を超えたなら、それはロボットがやるべき仕事だと思うねん。そして、鯖江みたいな中小生産地は、特にロボットとの相性がいい街なんじゃないかと思ってる。

鯖江の産業がロボットに取って代わられる時、僕らは何を考えるべきか。
ロボットにできないことってなんだろう?って言ったときに、創造性、知性、工夫する力、そういうのが重要になってくるんじゃないかなって。
だから、まずは当たり前の壁を壊すこと。そこから一歩ずつやっていければなーと思うよ。

後編へ続く
   
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投稿者:

森 一貴

山形県出身、東京大学教養学部卒。コンサルティング企業にて勤務後、鯖江市ゆるい移住に参加。現在、考える力を伝えるプロジェクト「CUE」代表。