哲学や価値観やクリエイティビティのあるまちに。
新山 | 今、僕が会社のビジョンとして掲げているのが、 「創造産地」という言葉。 TSUGIがずっと仕事をし続けるために、もちろん産地とともにがんばっていきたいと思う。 だけどそれ以上に、おこがましい言い方かもしれないけど、 |
森 | なんとなくわかります。 TSUGIもそうですけど、組織とか、イベントとかがきちんと続いていくためには 「やる側が楽しい」状態を整えることが大事だと思っていて。 その大事な要素が、関わる仲間や相手が、自分自身の考えや価値観みたいなものを持っているってこと。 こういうのって、移住を決断する上でも つまり、移住先に、おもろいやつはいるのか? |
新山 | ほんとやね。 例えばやけど、TSUGIでいうと、最近ずっと一緒に仕事をしている「ろくろ舎」って会社があって。 その代表のよしおさんは、職人として必要な正確さや、速さといった要素は、ほかの河和田の職人と比べると全然足りない。でも、その代わりによしおさんにはクリエイティビティがあるし、きちんとした考えを持ってる。そういうクライアントと仕事をする時って、いい仕事ができるし、何より自分たちが楽しいんだよね。 |
森 | うんうん、そうですね。 俺もよしおさんと仕事してて、楽しいですもん。 |
森 | そういえば、その視点でいうと、 TSUGIにいて、すごくはっとさせられたことがあります。 |
新山 | なになに? |
森 |
僕はこれまで、さっきも言ったように、 でも、TSUGIにいて気付いたのは、TSUGIはその見方をしてないんだ、ってこと。 そんな考え方もアリなのかっていうのは、すごく衝撃でした。 |
新山 | そんなに立派なものじゃないけどね。笑 誰もRENEWしてくれなんて一言も言ってないけど、 やっぱり僕らはデザイナーという立場上だから、作り手がいないと成り立たない。 だから、デザインする前の段階で、河和田のものづくりが持続するためにどうすべきかっていうところを考えなきゃいけないと思ってて。その一つのケースがRENEWだと思ってる。 まだまだ途中やけどね。 今の河和田って、自転車で動ける範囲に多様なものづくりが残っている。 そしたら、河和田っておもろいやん、という人たちが増えて、会社の収益やブランド力が向上して、またさらに河和田っておもろいやん、っていう内向きの求心力ができてくる。 |
森 | さらっと言ってますけど、めちゃめちゃ難題ですね。笑 |
新山 | うん、超難題にチャレンジしてると思うで。笑 でも、実はなんとなく希望もあるなーと思ってんねんな。それは何かっていうと、PARKのハマさんが言っている「ブラジルモデル」。 ブラジルでは、日系人が人口の1%いる。 いま、河和田の4400人の人口のうち、移住者は25人。 |
ほしいのは、「にやにやするような多様性」。
新山 | 変化って意味では、 気づきを与えるとか、クリエイティビティがどうとか言ってるけど、 やっぱり究極は教育なんじゃないかなって思ってる。 だから、本当は若いうちから、 |
森 | そこなんです。 新山さんが最終的に教育についたところがめっちゃおもしろくって。 |
新山 | っていうのは? |
森 | 俺がはじめてTSUGIのこの場所に来て、話をしたときのこと覚えてますか? 俺はその時、教育とまちづくり、どっちをやるかで割ともやもやしていて。 人から見ると、教育とまちづくりって全然違うやんって言われるんだけど、 俺の中では一緒なんだ、って話をしました。 というのも、俺自身は、そもそも理想として人を幸せにしたいというのがあります。 一方、新山さんの話を聞いてみると、新山さんは、まちづくりの中に俺の思う「教育」を見ている。 |
新山 | そうやね。 逆に気になるんやけど、森くんの言う幸せになれる場ってどういうもの?説明できる? |
森 | なんだろう。 「ゆるい移住」の本質的な部分って、きっとその答えになるんだろうと思うんですけど… 幸せになれる場って、「なんとなく、楽しい」みたいな場だと思うんです。 こないだ、長谷川浩己さんと山崎亮さんの「つくること、つくらないこと」を読んだんです。 なんで気になったかというと、それが俺の中の「曖昧」のイメージと一緒だったからです。 つまり、道路は「車が走る」場所なのは間違いないんだけど、 一番ぼくのイメージに近いのが、田舎のおまつりみたいな形だと思ってます。 たぶん、そういう状況が理想なんです。 |
新山 | そういえば、前、森くんは「にやにやできるまちを作りたい」みたいなことを言ってたね。 |
森 | はい。 仏生山おんせんの、岡昌平さんがおっしゃってた言葉です。 実はにやにやって、すごく本質的なんじゃないかって気がしてて。 将来的には、そんな、隙間というか、無計画をデザインするようなことがしていけたらなあ、と思ってます。 |
新山 | うんうん。それはおもろいね。
話聞いてて思ったのは、それって、多様性の許容ってのが結構大事なんちゃうかなーってこと。 文化が生まれるまち、 さて、もうそろそろ団地つくで。 |
森 | 思ったより早かったですね! 最後に、どうですか、TSUGIの感じは。 |
新山 | んー、わからんけど、 いま、TSUGI的には一番おもろい時期だと思ってて。 いいメンバーに恵まれながら、視界も広がってきたし、資金面としても成り立っている状態になっている。 TSUGIは、ザ・デザイン事務所というフォーマットにこだわる必要はないと思ってるんだけど。その中で、いま自分なりにフィットする役割を探そうとしている、その状況も割と気にいってるかな。 |
森 | いいっすね。 そんな時に新山さんと話せてよかった。 |
新山 | うん。 そしたら、また話そうや。 |
森 | はい、今日はありがとうございました。 お気をつけて。 おやすみなさい。 |
新山 | うん、ありがとうなー。 |
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